尿道炎とは
尿道炎とは、尿の通り道である尿道に炎症が起こる疾患です。
主な原因は細菌感染で、特に**性感染症(STI)**として発症するケースが多く見られます。
尿道に炎症が生じることで、
- 排尿時の痛み
- 膿(分泌物)の排出
といった症状が現れます。
一般的に「尿道炎」と呼ばれるのは主に男性の疾患です。女性は男性に比べて尿道が短く、尿道単独で炎症が起こることは少なく、多くの場合は膀胱炎から波及したものと考えられるため、「尿道炎」として診断されることはほとんどありません。
原因
尿道炎の原因は、大きく以下の2つに分けられます。
① 性感染症による尿道炎
性行為によって、パートナーから細菌が感染することで発症します。
主な原因菌は
- クラミジア
- 淋菌
などで、感染後1~2週間程度で発症するとされています。
また、性行為によって尿道や粘膜に小さな傷がつき、もともと皮膚や粘膜に存在していた細菌が侵入して炎症を起こす場合もあります。
② 異所性感染による尿道炎
外陰部から肛門周囲にかけての衛生状態が悪い場合、そこに存在する細菌が尿道に侵入し、炎症を引き起こすと考えられています。
症状
尿道炎の代表的な症状は排尿時の痛みです。
- 染みるような痛み
- 刺すような強い痛み
など、痛みの感じ方には個人差があります。
そのほか、
- 尿に少量の血が混じる
- 白色または黄色の粘り気のある膿が出る
- 安静時でも下腹部に痛みを感じる
- 発熱を伴う
といった症状がみられることもあります。
一般的に、クラミジア性尿道炎は淋菌性尿道炎より症状が軽い傾向があり、自覚症状が乏しいまま無症状の保菌者となっているケースも少なくありません。
検査・診断
尿道炎は、症状だけでは確定診断ができないため、検査が必要です。
主な検査方法
- 尿検査
白血球の増加や細菌の有無を確認します。 - PCR検査(核酸増幅法)
クラミジアやマイコプラズマなど、尿検査では判別しにくい菌を高精度で検出します。
PCR検査では約95%の精度で診断が可能とされています。
尿道炎と診断された場合の注意点
尿道炎と診断された場合、
- HIV
- 梅毒
- その他の性感染症
に同時に感染している可能性も否定できません。
特に不特定多数との性交渉がある場合は、そのリスクが高くなります。
尿道炎が確定した場合だけでなく、疑わしい症状がある段階でも、他の感染症を含めた検査を受けることが重要です。
パートナー検査と「ピンポン感染」
特定のパートナーのみと性行為を行っている場合でも、
- パートナーが無症状で感染している
可能性があります。
女性は軽症または無症状のケースが多く、自覚がないまま感染源となることがあります。そのため、**男性だけが治療を受けても、再感染を繰り返す「ピンポン感染」**が起こることがあります。
尿道炎は一度治っても免疫がつく病気ではありません。
完治後でも再び感染する可能性があるため、
- パートナー双方の検査・治療
- 治療完了までの性行為の制限
が非常に重要です。
尿道炎の治療・放置した場合のリスク・種類・予防
治療
尿道炎と診断された場合は、検査で特定された原因菌に対して適切な抗生物質を使用します。
多くの場合、1~2週間程度の内服治療で症状は改善します。
ただし、
- 薬剤耐性菌が原因の場合
- 内服薬で十分な効果が得られない場合
には、注射薬による治療が選択されることもあります。
また、クラミジアや淋菌などの性感染症が原因の場合は、パートナーも感染している可能性が高いため、パートナーの検査と治療が不可欠です。
再検査によって完治が確認されるまでは性行為を控えるようにしましょう。これにより再感染やピンポン感染を防ぐことができます。
尿道炎を放置した場合のリスク
尿道炎は自然治癒することはありません。
発熱や風邪のように安静だけで治る病気ではなく、原因菌を除去しなければ完治しない感染症です。
放置した場合、以下のような合併症を引き起こす可能性があります。
- 尿道狭窄
炎症が慢性化することで尿道が狭くなり、排尿障害を引き起こします。 - 膀胱炎・腎盂腎炎
尿道の狭窄や炎症が原因で、膀胱や腎臓へ感染が広がるリスクが高まります。 - 尿道周囲膿瘍(淋菌性尿道炎)
淋菌性尿道炎を放置すると、尿道周囲に膿がたまり、腫瘤(しこり)を形成することがあります。
これが破裂すると、尿が正常な経路以外へ漏れ出すなど重篤な状態になることもあります。
このように、尿道炎は放置によって深刻な合併症を引き起こす可能性があるため、完治を目指した治療が重要です。
女性における注意点
女性の場合、尿道炎よりも膀胱炎として発症するケースが多いですが、
炎症が子宮や卵管へ波及すると、不妊の原因になることもあります。
尿道炎と診断された場合は、症状が軽くても速やかな治療が望まれます。
尿道炎の種類
尿道炎は原因菌によって、主に以下の3つに分類されます。
① クラミジア性尿道炎
クラミジア・トラコマティスが原因です。
- 排尿時の痛みは軽度
- 白色の分泌物が見られることがある
- 自覚症状が乏しく、無症状のまま感染しているケースも多い
という特徴があります。
② 淋菌性尿道炎
淋菌が原因の尿道炎です。
- 排尿時の痛みが強い
- 黄色い膿状の分泌物が出やすい
など、クラミジア性と比べて症状が強く出やすいのが特徴です。
③ 非クラミジア・非淋菌性尿道炎
クラミジアや淋菌以外の原因による尿道炎です。
- 大腸菌などの一般細菌
- ウイルスや寄生虫
- 尿道周囲の不衛生な環境
などが原因となることがあります。
予防
尿道炎は粘膜接触による感染症であるため、以下の予防策が有効です。
- コンドームの正しい使用
- 不特定多数との性交渉を控える
- パートナーとともに検査・治療を受け、完治を確認する
感染症であるため、非感染者同士の性行為で尿道炎が発症することはありません。
そのため、お互いの感染状況を把握することも重要な予防策です。
また、
- 性行為後に排尿する
→ 尿道内に侵入した菌を排出できる可能性があります(※補助的な予防策) - 規則正しい生活を心がけ、免疫力を保つ
- 外陰部を清潔に保つ
ことも、尿道炎の発症リスクを下げるポイントです。