外耳炎とは耳の入り口から鼓膜までの外耳や耳の外側の耳介、外耳道と呼ばれる部分の炎症です。
耳の中の炎症である中耳炎とは対照的に、耳の外側の炎症です。
傷がある状態でプールに入ったり、長時間イヤホンを使用したりすることで細菌が入ると発症することがあります。
急性外耳炎とは突然に発症する外耳の炎症です。
細菌感染が主な原因ですが、耳垢が耳道に詰まることで感染が促進されることもあるため、耳垢に無頓着な方が急性外耳炎に悩まされることもあります。
一方の慢性外耳炎は長期間続く外耳の炎症です。
急性外耳炎が適切に治療されなかった場合に慢性化することがあります。
また、慢性的な外耳の問題やアレルギー反応によっても引き起こされることがあります。
痛みやかゆみが外耳炎の主な症状ですが、いずれも突発的に感じる急性外耳炎に対し、慢性外耳炎は慢性的なもので、長期間続く傾向にあります。
外耳炎の症状としては、痛み、かゆみ、赤みが一般的ですが、他にも分泌物や閉塞感、さらには聴力の低下が生じるケースもあります。
大まかには上記の症状ですが、それぞれ個別にみると、同じような症状でも異なるケースがあります。
例えば、痛みに関しては、強烈な痛みに襲われるケースもあれば、さほど気にならない、かすかな痛みの時もあります。
分泌物に関しても、膿のようなものではあっても、黄色のものもあれば、緑色のものもあります。
また、少数ではありますが上記にはない症状が見られるケースもあるなど、人によって異なる症状となっている点も外耳炎の特徴です。
外耳炎の原因は多々あります。
一般的に、外耳炎の原因として最も多いのが細菌感染です。
耳垢や汚れに含まれている細菌が外耳道に蓄積すると、そこで細菌が繁殖し、外耳炎に発展してしまいます。
また、耳たぶなどの周りの傷から細菌が感染して広がり、外耳炎に発展するケースもあります。
カビや酵母といった真菌の感染も原因の一つです。
湿度の高い環境や長時間の入浴でリスクが高まります。
アレルギー体質の方が、耳周辺の何らかの刺激に対してアレルギー反応を起こしてしまい、外耳炎へと発展するケースもあります。
アレルギーを起こす原因は多種多様で、耳掃除の棒やイヤホン、アクセサリーなど様々です。
近年、外耳炎の原因として増加傾向にあるのがイヤホンです。
イヤホンの利用者が増加しているのではなく、いわゆる無線タイプのイヤホンの増加が挙げられます。
無線タイプのイヤホンは使い勝手が良い一方で、耳に差し込む形で使用する点、さらには充電をケースを通して行うことから、ケースが不衛生な場合、ケースに繁殖している菌がイヤホン、そして耳へと感染するケースもあれば、アレルギー体質の方が長時間の利用でアレルギーから外耳炎へと発展してしまうケースもあります。
無線タイプのイヤホンは落としやすい点も特徴です。
地面に落としてしまったとしても、そのまま拾ってイヤホンを装着する人が多いです。
地面に落とすことで雑菌等が付着し、耳に入ってしまうのです。
毎日の使用で耳垢がイヤホンに付着し、雑菌と混ざってより不衛生になった状態で装着することで、外耳炎を招くこともあります。
しかし、イヤホンは機械なので、水洗いしにくく、清潔を保つことが難しいために不衛生になりやすいです。
外耳炎の予防方法として挙げられるのが下記の対策です。
耳を清潔に保つことが外耳炎予防の基本です。
耳垢は自然に排出されるため、耳の中を掻きすぎないようにしましょう。
耳道を清潔にするために、綿棒や耳かきで奥まで突っ込まず、耳の外側のみを軽く拭く程度にしましょう。
プールや海水浴、シャワー後などで耳に水が入るのを避けることが重要です。
特に外耳道に水が溜まることで細菌や真菌の増殖が促進され、外耳炎のリスクが高まります。
水に接する際は、専用の耳栓を使用し、耳を乾かすようにしましょう。
外耳道に異物が入らないようにするために、小さな子供やペットと遊ぶときには注意しましょう。
また、耳に異物が入った場合には、自分で取ろうとせずに医師に相談して適切な処置を受けるようにしましょう。
アレルギーが外耳炎を引き起こす場合、アレルギー症状を適切に管理することが重要です。
過敏なアレルギー反応を持つ場合は、アレルギーの原因を特定し、避けるようにしましょう。
健康な免疫系は感染に対する抵抗力を高めるので、バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠を心がけるなど、ライフスタイルを意識することも外耳炎の予防につながります。
耳の症状があらわれた場合は、早めに医師に相談し適切な治療を受けることが重要です。
早期治療により、症状を早く改善し、慢性化を防ぐことができます。
外耳炎の主な治療法としては、飲み薬のほかに、耳の中に垂らす薬を用いることがあります。
細菌感染が原因の場合、抗生物質を処方することがあります。
炎症を引き起こしている細菌を排除することで症状を改善させます。
真菌感染が原因の場合、抗真菌薬を処方することがあります。
真菌を撃退し、炎症を治療します。
症状が重い場合にはステロイド薬も使用されます。
炎症を抑えるために、耳に局所的にステロイド薬を使用することがあります。
点耳薬は、普段あまり用いないのでイメージしにくいですが、目薬のように片耳ずつ使用していきます。
点耳薬を耳の中に垂らし、1分ほどそのままの姿勢を保持し、反対側の耳も同様に点耳薬の投与を行います。垂れてくるお薬はティッシュペーパーなどで外に出てくる分のみふき取ります。
耳道にたまった耳垢や分泌物を医師が専用の器具を使って適切に除去します。
これにより、感染の進行を防止し、症状の軽減に役立ちます。
外耳炎を放置すると、合併症リスクを高めます。
懸念される合併症としては下記が挙げられます。
外耳炎が放置され悪化した場合、中耳に感染が広がることがあります。
中耳炎はより深刻な状態で、中耳の内部が炎症を起こし、膿がたまることがあります。
一部の患者では外耳炎が耳介の軟骨に感染を広げることがあります。
軟骨壊死は耳の形や機能に影響を与える可能性があります。
稀にではありますが外耳炎が耳の近くの顔の神経に影響を及ぼすことがあります。
これにより、走行性顔面麻痺と呼ばれる症状があらわれることがあります。
耳を清潔に保つこと、耳周辺に傷を作らないことも大切ですが、何より大切なことは早めに医師に診てもらうことです。
治療、あるいはケアにおいて医師からの指示が出た場合には守るようにしましょう。
自己判断では外耳炎を悪化させてしまう可能性があります。
また、少しでも異常を感じた場合には、すぐに医師に相談することも大切です。
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