梅毒トレポネーマという細菌に感染することによって起こります。
複数セックスパートナーの存在や、性交渉開始時期の若年化により、近年世界的にも梅毒の感染者数は増加しております。2022年には国内でも1万人を超え、非常に多い感染者数となっています。男性では20〜50代、女性では20代に多くみられています。
主に、性交渉によって感染します。梅毒トレポネーマに既に感染している相手と性交渉をすることで、1回で30%の確率で感染するといわれています。免疫力が低下している妊娠中は、感染率が60%にもなるというデータもあります。妊娠中に梅毒に感染すると、胎盤を通して赤ちゃんも感染してしまう「先天梅毒」となってしまいます。先天梅毒は、死産や新生児死亡、発育不全といったリスクが高い感染症です。
まれに、性交渉を持たなくても、感染者の血液等の体液に触れることによって感染してしまうこともあります。
感染して3週間ほどは症状はありません。
3週間後に陰部や肛門、口唇などの感染した部位に5ミリ程の赤い発疹や潰瘍ができます。特に痒みや痛みもなく、1ヶ月程で自然に消えてしまうので症状に気付かない方も多いです。症状は消えても、梅毒トレポネーマは体内で増え続け、感染力を持っている状態です。(感染からここまでの期間を第1期と呼びます)
感染して3か月程度経過すると、全身に赤い発疹や(バラ疹とよびます)、陰部や肛門に扁平なイボ(扁平コンジローマ)が現れます。手や足などに赤い発疹が目立つ場合があります。脱毛や倦怠感を伴うケースも多いです。これらの症状は2〜6週間で自然に消えます。(ここまでの時期を第2期と呼びます)
第2期の症状が消えた後、数週間〜数年間の潜伏期間があります。この期間は無症状ですが、全身の感染自体は進行し続けています。第1期や第2期の梅毒症状は自然に消失することから「梅毒になったけど治った」という方もいらっしゃいますが、治療をしていないため梅毒は治っていません。
潜伏期間の後、心臓や血管、脳、神経が障害され、重篤な状態となり死亡するケースもあります。全身の皮膚や内臓にゴムのような軟らかい腫瘍(ゴム腫)ができることもあります。「鼻が落ちる」という話がありますが、鼻にこの腫瘍ができて鼻の骨が欠損するためです。(この時期を第3期と呼びます)
皮疹や問診で梅毒が疑わしい場合、血液検査をします。
まずはRPR法によってスクリーニング検査を行います。
陽性の場合、RPRに追加して梅毒トレポネーマの抗体(TPHA法)を調べます。
梅毒は、昔は不治の病として水銀を飲むなど、まやかしの様な治療をされていたことでも有名です。
現在では治療をしっかりすることで完治することができます。
治療の基本はアモキシシリンという抗生剤の内服です。
治療の開始が早いほど、治療効果は高いと言われています。また、症状が消えても、医師の指示の通りしっかりと最後まで薬を飲むようにしましょう。
梅毒治療を始めて1日程度で高熱が出る場合があります。ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応といい、体内にいる梅毒トレポネーマが薬で死滅し、その反応で熱が出ますが、一時的な発熱で終わります。
RPRの値が治療開始時の1/4以下になるまで内服を続けます。概ね治療期間は4週間から8週間となります。
第3期では治療期間は長くなり、12週程度かかります。全身の臓器や血管に障害が起きている場合は、それらに対する治療を併せて行います。
治療後でもTPHAという検査の値は陽性を示します。別の病院で指摘された場合、治療の経過を含め説明が必要な場合があります。
梅毒のような性感染症の予防の基本はコンドームの使用ですが、口腔内の粘膜の接触でも感染してしまうため、完全に予防することはできません。
梅毒に感染している可能性がある場合には性交渉をやめましょう。
「感染しない」と同時に「感染させない」という意識が必要です。性感染症の治療はパートナーと共に行うことが重要です。どちらか一方が治療を行なっても、相手がすでに感染している状態では、移し合うことになってしまいます。
梅毒に感染した可能性がある場合や、気になる症状がある場合には速やかに受診しましょう。
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